あいちトリエンナーレ２０１９は、ある意味で日本の社会情勢を見事にあぶりだした効果があったと言えるだろう。個人的にこのトリエンナーレに並べられた現代美術の全てに価値があるとは思っていない。共感できるものもあればそうでない作品もある。特にインスタレーションで示す映像体験は必ずしもすべてが成功したとは思えない。芸術という境界線は見えない時代だから許されるものではあるものの、普遍的なものであるかどうかは歴史が証明してゆくしかないだろう。



しかし、間違いなくある都市の長が暴走したことで、一時的にせよ表現の自由が妨げられた事実は消えない。内容はともかく、表現が市長のひとことで抹殺された。この事実は重い。誤解を恐れずに言えばこれはもう戦時下の言論統制にも似た右傾化である。これは恐ろしいことだ。


自分は君が代も歌うし、皇室の温かい活動にも涙する。いわば普通の日本人だと思っている。しかし、あの行為は断じて許されない。表現の不自由さを示す展示そのものを封じ込めようとする行為は犯罪である。あの市長は犯罪者なのである。そしてあのような市長に投票して悦に浸る市民も愚かだと言わざるを得ない。

この都市がそういう都市なのだ、ということを理解せしめる意味で価値ある展覧会であったと思う。
いずれにしても表現はなるべく自由なほうがいい。そして表現されたものに対する批判や批評も遠慮なくなされるべきである。

権力を野放しにすると自分たちが苦労するのだ。気をつけたほうがいい。

(=^・^=)


にほんブログ村