この新海ワールドを堪能するのは３年ぶりだ。『君の名は。』でも３年という月日が示されるが、この映画にも３年という年月が反映される。

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　『君の名は。』を見たあの日、雨の中を遠方まで出向いて鑑賞した日は確か土砂降りだった。
　この映画を真正面から見ようとする夢見心地の『君の名は。』のファンは戸惑うだろう。日本映画史上２位の興行成績をもたらした作品の続きを期待すると苦しくなる。
　しかしこの『天気の子』『君の名は。』にも息づく震災や災害のモチーフはこの映画にも継承されている。新海監督が表現する東京の緻密な表現はアニメとは思えないリアリティがある。しかし、この東京に晴れをもたらす少女や彼女を追う主人公の少年など、映画では触れていない彼らの背景には、東京のどこかに存在する孤独感や孤立感がある。「東京ってすげえ」と主人公が言う。このセリフをそのまま受け取ってはいけない。あの廃墟のビルの屋上の鳥居が天（神）との通信手段であり、この子供たちがもたらすものは災害だ。そして東京（日本）が沈没してゆく、、、
　なんという壮大なるテーマなのだろう。新海監督の挑戦はかなり高いレベルに行き着いたようだ。未来から今を見返した時、この映画の真実を我々は知ることになる。
　日経エンタのレビュー