以前は若い方に本を貸したりして、さかんに本を読め本を読めと勧めたがもうやめた。
貸した本は返ってこないし、なんの音さたもない。
そもその借りた本を数週間数か月も返さない、という姿勢に疑問を感じる。
きっと金を貸しても戻ってこないやつだ。そういえばかつてここ名古屋で何人かに踏み倒された記憶が蘇る。名古屋はそういう土地柄なのだ。交通ルールは破るもの。時間は遅れるもの。借りた金は返さない。ディス・イズ名古屋だ。
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「どんな本を読んだらいいですかねぇ・・・」などと聞いてくるバカもいる。
しかしへたな依存症になるぐらいなら読書依存がいい。
いろんな想像力を掻き立てる。
やはり文字は手に取ってページをめくる、というリズムがいい。スマフォではちとつらい。
「天国はまだ遠く」は2006年11月に初版が出た本だ。2008年に加藤ローサさん主演で映画にもなったようだ。(配給は東京テアトル)
天国はまだ遠く (新潮文庫) [ 瀬尾まいこ ]
休みにふらふら本屋に入ると〇〇大賞受賞とかなんとか賞受賞などの帯が並び、人間のだらしない部分をくすぐる。人は賞に弱い。芥川賞と聞くだけで純文学の虜である。
この瀬尾まいこさんの本は極めてシンプルだ。なぜならタイトルの意味が冒頭から示されるからだ。
千鶴というOLは自殺志願者である。丹後の山奥まで自殺をしに向かうと、さびれた民宿たむらという宿を営む自然人のような男と出会う。彼との大雑把なやりとりなどで、自殺志願の千鶴が解放されてゆくまでの話だ。
小さな集落には農作業をする老婆、開店しないパン屋など不思議な光景が連なり、千鶴はたむらに誘われて釣りに行ったり鶏小屋の掃除をしたり、教会に行ったり、地元の方の飲み会に参加して次第に打ち解けてゆく。
しかし、自分が幼い頃から好きだった絵を描こうとトライするが、その出来上がりのひどさを見て、この自然を見ることはできても描くことはできないと自覚して、それまでの悩みを吹っ切るのである。
実にテンポがいいドラマが展開し、なにより登場人物の不思議な魅力に惹かれてゆく。
テレビもラジオもない世界で過ごす20日あまりの何もない日々。そんな田舎の日常が自分を覚醒させてくれるとは、なかなか現実ではありえないような話ではあるが、若い女性のこういう体験は聞いていて楽しい。
はて、年老いた自分はどうなのだ?と自問すると、田舎暮らしには耐えられないと思いながら読んだ。こうした非日常を現実として抱えている人々の多くは、きっとその土地に土着し離れない。このドラマのたむらも、家を捨ててしまえばそれもまたよしなのだろうがそれをしない。
かつて大学を卒業するとき、大親友で優秀な男が田舎へ帰ると言い出した。きっと彼が東京にいればそれなりの会社か役人になるか、ことによると大学に残って助手の仕事ぐらいあったはずだが、彼はそれをせずに田舎に帰って行った。その理由を聞くと、
「田舎には避けられないどろどろしたものがあるんだよ。」
と言った。その言葉とこの小説が重なる気がした。
名著であった。
貸した本は返ってこないし、なんの音さたもない。
そもその借りた本を数週間数か月も返さない、という姿勢に疑問を感じる。
きっと金を貸しても戻ってこないやつだ。そういえばかつてここ名古屋で何人かに踏み倒された記憶が蘇る。名古屋はそういう土地柄なのだ。交通ルールは破るもの。時間は遅れるもの。借りた金は返さない。ディス・イズ名古屋だ。
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「どんな本を読んだらいいですかねぇ・・・」などと聞いてくるバカもいる。
しかしへたな依存症になるぐらいなら読書依存がいい。
いろんな想像力を掻き立てる。
やはり文字は手に取ってページをめくる、というリズムがいい。スマフォではちとつらい。
「天国はまだ遠く」は2006年11月に初版が出た本だ。2008年に加藤ローサさん主演で映画にもなったようだ。(配給は東京テアトル)
天国はまだ遠く (新潮文庫) [ 瀬尾まいこ ]
休みにふらふら本屋に入ると〇〇大賞受賞とかなんとか賞受賞などの帯が並び、人間のだらしない部分をくすぐる。人は賞に弱い。芥川賞と聞くだけで純文学の虜である。
この瀬尾まいこさんの本は極めてシンプルだ。なぜならタイトルの意味が冒頭から示されるからだ。
千鶴というOLは自殺志願者である。丹後の山奥まで自殺をしに向かうと、さびれた民宿たむらという宿を営む自然人のような男と出会う。彼との大雑把なやりとりなどで、自殺志願の千鶴が解放されてゆくまでの話だ。
小さな集落には農作業をする老婆、開店しないパン屋など不思議な光景が連なり、千鶴はたむらに誘われて釣りに行ったり鶏小屋の掃除をしたり、教会に行ったり、地元の方の飲み会に参加して次第に打ち解けてゆく。
しかし、自分が幼い頃から好きだった絵を描こうとトライするが、その出来上がりのひどさを見て、この自然を見ることはできても描くことはできないと自覚して、それまでの悩みを吹っ切るのである。
実にテンポがいいドラマが展開し、なにより登場人物の不思議な魅力に惹かれてゆく。
テレビもラジオもない世界で過ごす20日あまりの何もない日々。そんな田舎の日常が自分を覚醒させてくれるとは、なかなか現実ではありえないような話ではあるが、若い女性のこういう体験は聞いていて楽しい。
はて、年老いた自分はどうなのだ?と自問すると、田舎暮らしには耐えられないと思いながら読んだ。こうした非日常を現実として抱えている人々の多くは、きっとその土地に土着し離れない。このドラマのたむらも、家を捨ててしまえばそれもまたよしなのだろうがそれをしない。
かつて大学を卒業するとき、大親友で優秀な男が田舎へ帰ると言い出した。きっと彼が東京にいればそれなりの会社か役人になるか、ことによると大学に残って助手の仕事ぐらいあったはずだが、彼はそれをせずに田舎に帰って行った。その理由を聞くと、
「田舎には避けられないどろどろしたものがあるんだよ。」
と言った。その言葉とこの小説が重なる気がした。
名著であった。
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