アカデミー賞俳優のラミ・マレック効果を期待して公開された本作だが、実は２０１７年に製作されていて、２年越しの日本公開となった。

という出だしから、１９７３年版との大きな違いは、刑務所での出来事の前後関係が示されている点である。１９７３年版では「こそ泥」という言葉でしかなかったパピヨンが宝石泥棒をするシーンや、付き合っていた美しい女性のことなどが描かれる。金庫破りをしたときのダイヤルの音が、独房で蘇るのが印象的だ。狂気との闘い。

１９７３年版同様、ダルトン・トランボの脚本を重ねたことの意味を考える。原作にはドガのことはほとんど書かれていない。しかし映画では刑務所の所長からの問い詰めに口を割らない（仲間を売らない）パピヨンとドガとの友情が中心となっている。この抑圧とは何か？

世界はフェイクニュースと言論統制でおおわれている。ＳＮＳを使って大統領が赤狩りのような圧力をかけることと、この映画が作られた時期と背景に隠された意味を読み解くのは深読みが過ぎるというものかもしれないが、、、