またまた母から借りた。『蒼天見ゆ』以来の葉室麟作品。
葉室さんの作品は下級で不幸な立場の目線で描かれる印象。誠実で鈍重とも思える優しさに満ちている。
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本作は2016年頃発表された作品で『春雷』の続編という位置づけようだ。祥伝社。
豊後羽根の欅屋敷が舞台。この屋敷の女主楓という女性が、鬼と呼ばれた多聞隼人の元妻である。
ここには学者の千々岩臥雲を師として大勢の子供たちが暮らしている。
そこに草薙小平太という木刀しか持たない武士が現れる。
小平太は当初欅屋敷を取りつぶすためにここへやってきたが、そこに潜入するうちにミイラ取りがミイラ状態。欅屋敷に集う子供たち、そして何より主である楓に人と成り、その背後には元夫で家老だった多聞隼人の存在も含めて小平太の心理が移りゆく。
欅屋敷取りつぶしを命じた大殿である三浦兼清に隼人と楓の子供と楓のお腹にいた子供までを失った事件があり、このことをめぐる大義と怨念が渦巻いてゆく。
『孟子』の中の”湯武放代論”とは、君主に徳がなく暴政を行うならば、これを討つことが許される。
これはまさにアメリカ合衆国憲法修正第2条(武器を保持する権利)の基礎ともいえる発想で中国史にこのような思想があったことを初めて知る。
惻隠の情
についても語られる。いわば性善説。湯武放伐論と惻隠の情が日本人に息づいているというやりとりが印象的であった。
最後に二転三転があって、楓や子供たちが欅屋敷から抜け出せるかが冒険活劇のように後半で盛り上がりを見せる。武士の魂と活劇の楽しさを存分に盛り込んだ名作である。
人皆、人に忍びざるの心有り
とは、いかにも日本人らしい表現だ。たまには時代劇も楽しい。
2日で読破。満喫できた。
葉室さんの作品は下級で不幸な立場の目線で描かれる印象。誠実で鈍重とも思える優しさに満ちている。
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本作は2016年頃発表された作品で『春雷』の続編という位置づけようだ。祥伝社。
豊後羽根の欅屋敷が舞台。この屋敷の女主楓という女性が、鬼と呼ばれた多聞隼人の元妻である。
ここには学者の千々岩臥雲を師として大勢の子供たちが暮らしている。
そこに草薙小平太という木刀しか持たない武士が現れる。
小平太は当初欅屋敷を取りつぶすためにここへやってきたが、そこに潜入するうちにミイラ取りがミイラ状態。欅屋敷に集う子供たち、そして何より主である楓に人と成り、その背後には元夫で家老だった多聞隼人の存在も含めて小平太の心理が移りゆく。
欅屋敷取りつぶしを命じた大殿である三浦兼清に隼人と楓の子供と楓のお腹にいた子供までを失った事件があり、このことをめぐる大義と怨念が渦巻いてゆく。
『孟子』の中の”湯武放代論”とは、君主に徳がなく暴政を行うならば、これを討つことが許される。
これはまさにアメリカ合衆国憲法修正第2条(武器を保持する権利)の基礎ともいえる発想で中国史にこのような思想があったことを初めて知る。
惻隠の情
についても語られる。いわば性善説。湯武放伐論と惻隠の情が日本人に息づいているというやりとりが印象的であった。
最後に二転三転があって、楓や子供たちが欅屋敷から抜け出せるかが冒険活劇のように後半で盛り上がりを見せる。武士の魂と活劇の楽しさを存分に盛り込んだ名作である。
人皆、人に忍びざるの心有り
とは、いかにも日本人らしい表現だ。たまには時代劇も楽しい。
2日で読破。満喫できた。
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