もともとポスト・ケインジアンの立場を学習した時代は、日本がバブルに入る頃でレーガン・サッチャーの新自由主義経済がもてはやされていて、不況時代の経済という立ち位置のケインジアンの出番ではなかった。
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あれから長いデフレ(現在も)と10年前のリーマンショック(ミンスキーの「金融不安定性仮説」が広く注目された)から派生する急激な経済変化で、ケインズが取り上げられる機会が増えたのだが、有効需要政策を主軸とする経済理論はそれこそ中国ぐらいしか該当するケースがなく、その中国も失速しつつある現在有効な理論としてスタンダードとは言えない。

そんな中、日経の経済教室(5月31日付け)でウィレム・ブイター (シティグループ特別経済顧問)とキャサリン・マン (シティグループチーフエコノミスト)両名によるMMT(現代貨幣理論)「自国の通貨を発行して借金ができる国は財政赤字を増やしても心配ない」、についての論文が披露される。

極めて短く要約すると、「流動性のわな」に陥っている日本がMMT政策に踏み込めばインフレ懸念が生じ、ハイパーインフレに連鎖するのではないか、という主張である。 金融政策が必ずしも効果を示していないという立場である。

図1


さらに、6月3日付け宮尾龍蔵氏(東京大学教授)によれば、MMTが伝統的なケインズ経済学と多くの共通点を持つものの、政策レジームの違いがある、すなわちMMTを実行する背景が異なるのではないかと主張している。それはステファニー・ケルトン氏(米ニューヨーク州立大教授)が「日本がMMTをこれまでも実践してきた。」という見方に誤解があるという主張でもある。

図2

どうも消費増税を前にきな臭い政治的な臭いを感じてしまうのだが、このふたつの短い論文を読む限り、赤字を増やしても心配ない、という理論を現在の日本にあてはめるのは危険があるように思う。

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